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#2 R=Rule コンサートを自由に楽しむためのルール。

そもそもN響の歴史とは? コンサートにはどうやって参加するの? といった基本的なことから、知られざるN響の秘密まで、「O・R・C・H・E・S・T・R・A」を頭文字にもつキーワード毎に紹介していきます。

第2回のRでは、心置きなくクラシックを堪能していただくための「Rule=ルール」を漫画で紹介していきます。
――はじめてクラシックコンサートへ足を運ぶことになった幼馴染の女性3人組。胸を高鳴らせる彼女たちですが、装いから鑑賞スタイル、拍手の仕方まで、何もかも分からないことだらけ。そこに、ちょっとお節介な「みんなのN響アワーの精霊」Nさんがやってきて……。3人のはじめてのコンサート体験を覗いてみます。

ドレスでも、和服でも、もちろん普段着でも。


クラシックのコンサートと聞くと、フォーマルな場所というイメージを持つ方もいるかもしれません。でも、通常のコンサートの場合「ドレスコード」などは特にありません。スニーカーやTシャツ、ジーンズなどのカジュアルなスタイルでも大丈夫です。着慣れた服装の方が、リラックスして音楽に集中できますよ。

N響公演のお客様を見ていると、やや綺麗目なカジュアルの方が多い印象です。もちろんラフな格好でいらっしゃる方や、仕事終わりのスーツ姿の方、中には和服でいらっしゃる方も。せっかくの演奏会なので普段より少しおしゃれをして、非日常空間を味わいながら優雅な気分で聴くのも素敵だと思います。

ただし、カサカサ音がする上着やシャツ、ジャラジャラ音がするアクセサリーなどの装飾品、あるいは過度な香水や臭いのする服、見た目が不潔に感じる格好などは、周りの人が演奏に集中できなくなってしまうので避けてください。大きな帽子も後ろの人が見えにくくなるので、避けるか演奏中は取りましょう。演奏中に落としたり、音がしたりするものもカバンにしまっておくことをおすすめします。

コンサートホールは構造上、階段が多くなっています。高いヒールやミュール、下駄などを履いてお越しの際は、足元に十分お気をつけください。また、ホール内と外気との差がある夏や冬は、着脱が楽なジャケットやカーディガン、もしくはストールなど体温調節しやすい服装を選ぶのがおすすめです。

開演前は、優雅に、贅沢に。


クラシックのコンサートでは、演奏中の入退場はご遠慮ください。万が一開演時間に間に合わなかった場合、もし次に入場できるタイミングがあればホール係が案内してくれます。焦る気持ちは分かりますが、係の静止を振り切って演奏中に入場してしまうと多くのお客様に迷惑がかかりますので、絶対におやめください。また、開演に間に合ったとしても、息切れした状態で席についても演奏を楽しめないかもしれません。そのような事態を避けるため、時間には余裕を持って会場へ向かいましょう。

お手洗いは開演前や休憩中に済ませるようにして、演奏中の退場もご遠慮ください。ただし具合が悪くなってしまったなど、どうしても退場せざるを得ない状況になってしまった場合は、なるべく静かに出ていただき、ホール係にお知らせください。

ちなみに、ホール内での飲食は禁止です。また、写真撮影はお断りのところがほとんどです。ホールの掲示やアナウンスで注意喚起しているので確認してください。演奏中の写真撮影、録画、録音も禁止です。聴いた音楽は心の中に入れてお持ち帰りくださいね!

事前に予習をした方が良いのか悩まれるお客さまがよくいらっしゃいます。もちろん、予習なしでもお楽しみいただけますが、少しでも何か調べてから来場いただくとより深く楽しめると思います。例えば、どの作曲家の何という楽曲を演奏するのか、指揮者はどんな人なのか、どのような楽器編成で、コンサート会場はどんな雰囲気なのか……。ほとんどの会場でその日のプログラムについて書かれたパンフレットを配布しているので、早めに到着したら、軽く目を通しておくだけでも十分です。N響では、ホームページに定期公演の出演者紹介や曲目解説を掲載しているので、会場に向かいながらスマートフォンでサクッとチェックしてもいいかもしれませんね。

「拍手」は、コンサートの欠かせない構成要素。

クラシックコンサート初心者の方にとって、迷うのは「拍手のタイミング」ではないでしょうか。コンサートの様子などをテレビで観ていると、演奏が終わっても拍手をしない時がたまにあり、「実際の会場ではどう振る舞えばいいの?」という方もいらっしゃるかもしれません。

まず、演奏者が登場したら大きな拍手で迎えてあげてください。大きな拍手があると、演奏者も気分が高まります。そして、楽曲が終わったら拍手を贈りましょう。ただし交響曲の楽章間や、何曲かが続いている組曲や曲集などは、すべての曲が終わるまで拍手をしないのが一般的です。

例えばチャイコフスキーの《交響曲第6番「悲愴」》のように、静かに終わる曲の場合は指揮者が手を降ろして緊張を解くまでは拍手を待ちましょう。最後の音が鳴り終わっても、指揮者が緊張を解くまで演奏は続いていると考えてください。曲の余韻まで楽しむ余裕があるといいですね。タイミングがわからない時は、周りの反応を見てそれに従うのが良いでしょう。このご時世なので、「ブラボー」はお控えいただいておりますが、そのぶん大きな拍手を贈ってあげてください。

クラシック音楽にはリラクゼーション効果もあるため、気持ち良くなって眠ってしまうこともきっとあると思います。寝てしまうのは悪いことではないのですが、いびきをかいたり、こっくりこっくりしたりすると奏者や他のお客様が気になってしまうので、そこは気をつけたいところです。もしお連れの方がそうなっていたら、そっと起こしてあげてくださいね。

演目の中で、お気に入りの作曲家を見つけたら、どの時代にどの国で、どのような人生を歩んだのかをぜひ調べてみてください。その作曲家がどのような思いでその曲を作ったのか、後世にどのような影響を与えたのか、など……。クラシック音楽は掘り下げればどこまでも掘り下げられます。もちろん、指揮者がかっこよかった、ソリストが美しかった、あの奏者の音が綺麗だった、あの奏者の動きが面白かった、でも十分です。少しずつ興味の幅を増やしていくと、クラシックの世界をより深く楽しめるはずですよ。



comic / Yuu Mori text / Takanori Kuroda