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#7 T=Ticket チケットを使いこなせばもっと楽しめる。

そもそもN響の歴史とは? コンサートにはどうやって参加するの? といった基本的なことから、知られざるN響の秘密まで、「O・R・C・H・E・S・T・R・A」を頭文字にもつキーワード毎に紹介していきます。
第7回は、「T=Ticket」について。N響のチケットは、種類や購入方法も電話やネット、プレイガイドなどさまざま。それぞれの用途や頻度に合わせてチケットを選んだり、公演をカスタマイズすることもできるそう。まだまだ謎多きチケットについて、今回は、N響のチケット担当者に解説いただきます。

N響は年間どのくらいの公演をしているの?

N響は、毎月かなりの数の公演を行っています。プロフィールには「年間120公演」とうたっており、単純計算で3日に1度の頻度となります。思い立ったときに、いつでも観られるのがN響コンサートなんです。

年間120公演のうち、54回が「定期公演」です。定期公演には「Aプログラム」「Bプログラム」「Cプログラム」の3種類があり、プログラムの内容もそれぞれ特徴があります。AプログラムはNHKホールのスケールの大きさを生かした声楽入りの作品や大編成の曲目などを、Bプログラムは「クラシックホールの殿堂」と呼ばれるサントリーホールにて、大作曲家の有名曲を国際的な指揮者やソリストたちの演奏で楽しんでいただくものとなっております。

そして、最も特徴的なのはCプログラム。AとBで行われる通常のクラシックコンサートは、途中に休憩を挟む2時間程度のプログラムですが、Cは演奏時間を60〜80分程度にした休憩なしのコンパクトな内容となっています。ただし、「コンパクト」とはいえAやBと同様に世界的な指揮者・ソリストを招いてのコンサートですので、クオリティはAやBに引けを取るものではありません。

Cプログラムがユニークなのは、N響メンバーによる「開演前の室内楽」があること。そして、仕事帰りにも寄っていただけるようにと、1日目金曜日の開演時間は19時半スタートです。そのためCは、N響に親しんでいただく「エントリーコンテンツ」であると同時に、常連の方々にも人気のプログラムですね。

定期会員券ってなに?

定期会員券をご購入いただく場合、まずはA、B、Cの中からコースを1つ選んでいただきます。「定期会員」になっていただいた方には、その期間「マイシート」という形で毎回同じ席で楽しんでいただくことができます。「色々な席で聴いてみたい」という方には不向きかもしれませんが、常にいい音響で聴ける醍醐味を味わっていただけるのが定期会員券の特徴となります。

また定期会員の方は、人気公演の先行予約も可能です。ご自身が持っている定期会員券に含まれない定期公演や「第9」などの特別公演で「これは聴きに行きたい」というものがあれば、後述する「1回券」で、一般の方よりも早く、しかも多くの場合割引料金でお求めいただけます。

また、定期会員券には「日程の振替」という特典もあります。定期会員になっていただいても、公演日程がどうしてもご予定を空けられないという場合もあるかと思いますが、その場合に同じ演目の別の日程に振替座席をご用意させていただくことができるのが、定期会員券のみの特典の1つです。

「定期会員券を購入すると、あらかじめ観に行ける公演が決まってしまい、観たい公演を自由に選べない」と思われる方もいるかもしれません。ですが、見方を変えれば「今まで知らなかった新しい楽曲や指揮者に出会えるチャンス」ともいえます。人って自分が馴染みのあるものをどうしても選んでしまいがちで、自分が今まで知らなかったものや新しいものに対しては、なかなか自分から選ぶことができないじゃないですか。定期会員券は、「N響がキュレートしたコース」で新しい音楽に出会える絶好の機会です。

ちなみに定期公演は英語で「subscription concert」、定期会員は「subscriber」と言いますが、定期会員券は「N響が作成したプレイリストをサブスク感覚で楽しむ」みたいな感じで捉えていただくと分かりやすいかもしれませんね。

思い立ったらまず「1回券」。
カスタムできちゃう「WEBセレクト3+」。

思い立ったらいつでも買えるチケットが「1回券」です。1回券は、N響が主催するほぼすべての公演に設定されていますので、「ちょっと、クラシックのコンサートでも観に行ってみたいな」と思ってN響のWEBサイトを開いていただくと、必ずどこかでコンサートが開催されています。なので、思いたったらまずは1回券。で気軽にコンサートへ足を運んでくださったら嬉しいです。

「WEBセレクト3+」は、AUTUMN(9〜11月公演)、WINTER(12〜2月公演)、SPRING(4〜6月公演)の各シーズン内の9プログラム18公演のうち、3公演以上まとめて購入すると8パーセント割引になるチケットで、定期会員券のお得さ(割引)と1回券の使い勝手の良さ(自由にチケットを選べる)を兼ねそなえています。定期会員券の場合、前述したようにプログラムをまたいでの選択ができないのですが、「WEBセレクト3+」の場合、「9月はAプログラムを、10月はBプログラムを観に行こう」という選択ができる。しかも、「この公演はS席で聴きたいけど、こっちの公演はE席でもいいかな」みたいに、公演ごとに好きな座席を選べるところも特徴です。

クラシックコンサートが800円? 
さらにお得な「ユースチケット」。

「ユースチケット」は25歳以下の方がご購入いただけるチケットで、お得な料金が設定されています。実は、今年9月から割引額が大幅にアップし、N響が主催するほとんどの公演で、1回券を一般料金の半額以下でご案内することになりました。例えばCプログラムのEランクという座席なら800円で観られるんです。定期会員のユースチケットの場合は、もっと割引率の高いチケットもご用意できます。今時、90分のクラシックコンサートを800円で聴けることなんてなかなかないと思うんですよね。「とにかく、若い方に生の演奏を聴いてみていただきたい」という思いからの新たな試みです。

チケットの購入方法を教えて!

1回券はN響での取り扱い以外にも、ぴあ、e+(イープラス)、ローチケなどのプレイガイドでも販売していますが、定期会員券はN響が運営するチケットセンター「N響ガイド」とチケット販売サイト「WEBチケットN響」でのみご購入いただけます。

「とにかくN響に1年間どっぷりと浸かりたい」という方にはぜひとも定期会員券がおすすめです。冒頭で述べたように、N響の定期公演は9月から6月まで開催されているため、1シーズン通じてご覧いただける「年間会員券」の発売は7月から9月のシーズン最初のコンサートまでになります。ここが年に1度のチャンスですね。また「シーズン会員券」という、AUTUMN(9〜11月公演)、WINTER(12〜2月公演)、SPRING(4〜6月公演)の各シーズン毎に発売される会員券(Bプログラムをのぞく)は、だいたいそのシーズンの2ヶ月前くらいから販売しています。

クラシックコンサートとはどんなものか、N響ってどんなグループなのか。とにかく一度「体験」してみたいという方には「1回券」をお勧めします。また、ご自身で自由にプログラムや座席などを選んで定期公演の「マイコース」を作ってみたいという方には「WEBチケット3+」がおすすめですよ。自分のスケジュールや好みにあったチケットをぜひ選んでいただけたら嬉しいです。

▼2022-23シーズンN響定期公演について知る
https://www.nhkso.or.jp/news/2022_23season.html

▼N響の公演カレンダーを見る
https://www.nhkso.or.jp/concert/

text / Takanori Kuroda illustration / Kouhei Miyazaki

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