みんなのN響アワー|NHK交響楽団

もっと自由に、クラシック音楽を。「みんなのN響アワー」は、クラシック音楽をもっと自由に、気軽に楽しむためのNHK交響楽団の新しい発信地です。N響のメンバーだけでなく、さまざまな音楽家も招きながら、クラシック音楽のあたらしい入口を作っていきます。

みんなのN響アワー|NHK交響楽団

もっと自由に、クラシック音楽を。「みんなのN響アワー」は、クラシック音楽をもっと自由に、気軽に楽しむためのNHK交響楽団の新しい発信地です。N響のメンバーだけでなく、さまざまな音楽家も招きながら、クラシック音楽のあたらしい入口を作っていきます。

マガジン

  • みんなでつくる、N響の“ORCHESTRA”。

    そもそもN響の歴史とは? コンサートにはどうやって参加するの? といった基本的なことから、知られざるN響の秘密まで、「O・R・C・H・E・S・T・R・A」を頭文字にもつキーワード毎に紹介していきます。

  • 〇〇回目の、N響。

    生のクラシックコンサートの醍醐味は、何回訪れても、常に新しい感動や発見が得られること。例えば、はじめて訪れた時にはただひたすら音に身を委ね、2度目のコンサートでは奏者の表情に注目し……、回を重ねれば、お馴染みの楽員を目で追うようになることもあるかもしれません。この連載企画「〇回目のN響」では、はじめての方にもそうでない方にもN響のコンサートを鑑賞してもらい、会場でどんな体験ができたのか、その日の演奏からどんなことに思いを巡らせたのか、話を聞いてみます。

  • N響 × N響

    担当する楽器が違ったり、年齢が離れていたり、はたまたオーケストラの端と端に座っていたり。心理的にも物理的にも近くて遠い距離にいる楽員同士が対談する企画です。

  • ファビオ・ルイージ、「美」を語る。

    2022年9月、NHK交響楽団は首席指揮者にファビオ・ルイージを迎えます。各国の一流オーケストラに客演するだけでなく、数々のオペラハウスでも実績を重ねるなど、交響曲とオペラの両輪で活躍し、その豊かな経験に裏打ちされた瑞々しい演奏は、世界中のクラシックファンを魅了しています。そして、音楽はもちろんのこと、文化や芸術、ファッションなどさまざまなカルチャーにも深い知見を持っているところもファビオのユニークさのひとつ。どんなものから影響を受け、その豊かな美的感覚を育み、そしてどんな思いで音楽を奏で続けているのか。首席指揮者就任に先駆けて、全4回にわたってファビオが語る「美」の秘密に迫ります。

  • 名曲の「ココ」を聴こう。

    長くて難解なイメージを持たれがちなのが、クラシックの楽曲。現在のトレンド音楽のなかにもそのエッセンスは散りばめられていますが、いまいちどんなふうに楽しんだらいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか? この連載「名曲の『ココ』を聴こう」では、クラシック音楽にも影響を受けながら、ポップミュージックシーンで活躍しているミュージシャンたちがクラシック曲の聴きどころをピックアップし、その面白さを解説します。

記事一覧

クラシック音楽と将棋、その共通点。|佐藤天彦 × 横島礼理

コンサートホールは、ちょっと異常だ。|大童澄瞳

#4 多彩な音に身を委ねると、冒険がはじまる。 |小林うてな×ラヴェル

#1 神の存在に触れられる名曲プレイリスト。|伊藤亮太郎(N響コンサートマスター)

【号外】クラシック音楽の話をしてみよう。|Yaffle × 江﨑文武

#9 A=Artist 楽員たるもの、日々アーティストの意識を持つべし。

#8 R=Rehearsal 十人十色のリハーサルが最高の演奏を生み出す。

#7 T=Ticket チケットを使いこなせばもっと楽しめる。

#6 S=Sound 聴衆と演奏者、両者が感じる「いい音」がある。

「100回目(?)のN響は、人の心を動かす姿勢を教えてくれた」|山本憲資さん(Sumally Founder & CEO)

N響が渋谷に帰ってくる。|かの香織

#3 管楽器と弦楽器は、同志だ。

#5 E=Ensemble 息遣いや気配を感じて奏でる。

#4 H=History 挑戦を選び、進化してきたN響の歴史。

#3 C=Conductor 作曲家の「生き様」と自分の「原体験」を演奏で表現する。

クラシック音楽と将棋、その共通点。|佐藤天彦 × 横島礼理

クラシック音楽も将棋も、 早い段階で人生の分岐点が訪れる。横島礼理(以下、横島):実は僕、N響に入った時の歓迎会で、大好きな将棋に救われたことがあって。趣味を聞かれて「将棋です」と答えたら、「ウソつけ」「知的ぶって」とガヤが入ったんです。その様子を見ていた将棋好きの先輩から「将棋の戦法で例えるなら、N響でどんな風に活躍していくの?」と無茶振りされて、「棒銀(ぼうぎん)のように頑張ります」って答えたんです。みんなキョトンとしていたんですけど、その先輩が「一直線に頑張るってこと」

コンサートホールは、ちょっと異常だ。|大童澄瞳

どう楽しむ? 初めてのクラシックコンサート。 ——大童さんには、10月に開かれたN響定期公演Bプログラムを鑑賞していただきました。初めてのクラシックコンサートはいかがでしたか? 実は、会場に行く前から「この1回を観ただけでクラシックコンサートのすべてがわかるわけではない」という覚悟のような思いがありました。というのも、僕は落語が好きなのですが、落語を聞くときって、聞き慣れない江戸弁だったり古い言葉だったりするので、初めは意味がわからないところがあるんです。でも、同じ音源を繰

#4 多彩な音に身を委ねると、冒険がはじまる。 |小林うてな×ラヴェル

<教えてくれた人> <解説する曲> モーリス・ラヴェル《組曲「マ・メール・ロワ」》 指揮:ミシェル・プラッソン 演奏:トゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団 ラヴェルが作る楽曲は、聴いた瞬間に別の世界へと連れて行ってくれる。私はクラシックの作曲家では、特にラヴェルとドビュッシーが好きなんです。ラヴェルの《亡き王女のためのパヴァーヌ》は、指揮者やオーケストラごとの違いを聴き比べたりもしましたね。「こっちのヴァージョンの方が好きだな」「なんでこっちはこんなに明るい演奏なんだろう

#1 神の存在に触れられる名曲プレイリスト。|伊藤亮太郎(N響コンサートマスター)

教養と知識がなくてもクラシック音楽は楽しめる。5歳からヴァイオリンを始め、大人になった今はオーケストラのコンサートマスター。そんな僕にとって、クラシック音楽はあまりにも身近な存在です。それこそ、プライベートで音楽を聴くときは、9割9分はクラシック音楽です。なぜそんなに魅了されているのかと言ったら、名曲を聴いていると神の存在に触れられるから。偉大な作曲家たちによって創作され、それが200〜300年経った今でも愛されている。構成も編成も演奏も人間技とは思えない素晴らしい楽曲ばかり

【号外】クラシック音楽の話をしてみよう。|Yaffle × 江﨑文武

僕たちと、クラシック音楽の関係性。江﨑:Yaffleさんと初めてお会いしたのは、僕が東京で初めてバンドで出演してギャラをいただいたライブで、Yaffleさんたちと対バン(*1)した時なんですよね。2013年にWONKを結成して、3年ぐらい経った頃だったと思います。 Yaffle:信じられないくらい狭いハコで、演者の方が多かったんじゃないかという思い出が(笑)。それで昨年、「TOKYO M.A.P.S」(*2)で対バンすることになって再会したんですよね。 江﨑:同世代のかっ

ある公演の日に……。

09:00 搬入開始朝9時、N響のトラックがホールの搬入口に入ってきた。コンサートで使用する楽器はもちろん、時には演奏時の椅子なども運ぶというトラックは、N響の場合、コンサートの構成にもよるが11tトラック1台と4tトラック1台の計2台が基本。中を覗くと、大きさや重さが異なるさまざまな形の楽器が入ったケースなどが隙間なく収められている。ステージスタッフたちにより荷物は後方手前からどんどん下ろされ、舞台や舞台袖に運ばれていく。 09:00 設営開始搬入開始と同時刻、舞台上では

#9 A=Artist 楽員たるもの、日々アーティストの意識を持つべし。

楽員と指揮者との間を繋ぐ、コミュニケーションの橋渡し役。インスペクターは、弦楽器奏者から1名、管楽器奏者から1名が「楽員インスペクター」として選出されます。また事務局員が務める「チーフ・インスペクター」がおり、この3名が協力してリハーサルの現場をスムーズに動かすために楽員のスケジュールを調整したり、メンバーと指揮者のコミュニケーションの「橋渡し」をしたりするなどの業務を行います。僕は、10数年間インスペクターを勤めた前任者からこの仕事を引き継ぎ、かれこれ8年くらい続けています

#8 R=Rehearsal 十人十色のリハーサルが最高の演奏を生み出す。

リハーサルが始まるまでに。コンサートのスケジュールや演目が決まってから、実際の公演日までの期間は数ヶ月〜数年と、その公演内容によって違います。著名な指揮者や演奏者を海外から招聘する場合や、オペラのような大掛かりな公演の場合は、かなり早くから準備を始めていることも。リハーサルの準備は、まず使用する楽譜の出版社などを指揮者と確認することから始まります。どの楽譜を使うのかが決まると、練習1か月前までには演奏者が閲覧できるよう準備し、並行してオーケストラの配置の確認作業も進められます

#7 T=Ticket チケットを使いこなせばもっと楽しめる。

N響は年間どのくらいの公演をしているの?N響は、毎月かなりの数の公演を行っています。プロフィールには「年間120公演」とうたっており、単純計算で3日に1度の頻度となります。思い立ったときに、いつでも観られるのがN響コンサートなんです。 年間120公演のうち、54回が「定期公演」です。定期公演には「Aプログラム」「Bプログラム」「Cプログラム」の3種類があり、プログラムの内容もそれぞれ特徴があります。AプログラムはNHKホールのスケールの大きさを生かした声楽入りの作品や大編成

#6 S=Sound 聴衆と演奏者、両者が感じる「いい音」がある。

「いい音」とは何か?子どもの頃からクラシック音楽が好きで、中学でサクソフォーンを、高校でオーボエを演奏したこともありました。プロになるほどの演奏力がないことは自分でもわかっていましたが、それでも「音楽に携わる仕事がしたい」と思って1977年に永田音響設計という音響設計事務所に入社しました。そこで手がけたサントリーホールは、東京初のクラシック音楽専用コンサートホールです。 それまで東京のコンサートホールというと、上野にあるクラシック音楽の殿堂、オペラの聖地「東京文化会館」が有

「100回目(?)のN響は、人の心を動かす姿勢を教えてくれた」|山本憲資さん(Sumally Founder & CEO)

永い時間をかけて、一流の音楽家たちが紡いできたもの。10年ほど前、30代に差し掛かったあたりから、クラシックのコンサートによく足を運ぶようになりました。それまでも時々は行ってはいたのですが「なんだかすごいな」と感じる程度でした。いつからかあらかじめ曲目を予習してから現地に行くようになり、よりクラシック音楽を愉しめるようになったんです。今では、多い時は週に複数回コンサートに足を運ぶことも。N響だけでも毎年10回前後を10年以上は続けているので、100回くらいは観ているのではない

N響が渋谷に帰ってくる。|かの香織

あらゆる文化が芽吹きつづける街。 そのカルチャーを育む人々のぬくもり。時は1970年代。一面に広がる農地に降り積もった雪。小さな東北の町の土蔵の酒蔵(*1)。築200年くらいは経っているのだろう。生まれた家だというのによくわからない。忘れられない厳冬。吐く息は白く、銀鼠色の空高くに響く白鳥の声。そんな自然音だらけの江戸時代さながらの暮らし。納屋に転がっていた古ぼけたスピーカーを休憩中の酒蔵のおじさんに直してもらい、ラジオからの音楽にそっと周波数を合わせる。音が鳴った途端、二人

#3 管楽器と弦楽器は、同志だ。

チェロもホルンも、つまるところは体力勝負。勝俣泰(以下、勝俣):僕ら、普段はあまり接点はありませんね。だから今日は楽しみにしてきたんです。 藤村俊介(以下、藤村):弦楽器と金管楽器は、練習でも演奏中でも位置が離れていますから。 ──楽器の違いについて伺いたいのですが、普段の手入れの仕方や、演奏するまでのウォーミングアップなどもかなり異なるんでしょうか。 藤村:弦楽器はナーバスですね。湿気があると、段ボールで作った楽器のように鈍い響きになることもあるんです。でも僕の楽器は

#5 E=Ensemble 息遣いや気配を感じて奏でる。

<教えてくれた人> そもそも「アンサンブル」とは何か?「アンサンブル」という言葉はフランス語で「一緒に」という意味です。「Tu veux qu'on dîne ensemble ?(一緒にご飯食べる?)」など日常的に使われており、音楽用語としては「一緒に音を出す」つまり「合奏する」という意味になります。 アンサンブルはメロディライン、それを支える低音パート、その中間で和声を決定する楽器たちによって成り立っています。アンサンブルの良し悪しは、例えば「タイミングがあっているか

#4 H=History 挑戦を選び、進化してきたN響の歴史。

<教えてくれた人> N響のはじまりは、今からおよそ100年前。私がN響に出会ったのは、実は小学校4年生の頃なんです。当時通っていた学校の講堂に「音楽鑑賞教室プログラム」の一環としてオーケストラがやってきたのですが、学区から推察するにそれがN響だった可能性が大きいんですよね。今となっては何を演奏したのか全く記憶にないのですが、そこで初めてオーケストラを生で聴いて「すごい!」と感動したことを覚えています。 その時はすでに「NHK交響楽団」という名前でしたが、もともとN響は「新

#3 C=Conductor 作曲家の「生き様」と自分の「原体験」を演奏で表現する。

<教えてくれた人>  指揮者それぞれの「原体験」が、演奏に色をつける。指揮者とは、大まかにいえば「その日の演奏を受け持つ人」です。指揮台に立ち、指揮棒を振りながらオーケストラに対して始まりの合図と終わりの合図を出す。これがもっとも基本的な役割となります。 クラシック音楽は「再現芸術」と言われるように、「絶対神」である作曲者が遺した楽譜を可能な限り忠実に再現することがもっとも重要なことです。と同時に、楽譜には書かれていないこと、楽譜には書ききれなかったことを「妄想」しながら